3月は日を追うごとに陽ざしもやわらかくなり、春やな〜と感じます。神戸市兵庫区にある会下山公園は小高い坂の上。1400本もの桜がある公園は、桜の季節はぽっかりと宙に浮かんでるみたい。桜はまだ早いけど緑の木々は見えます。それをめざして元気にウォーキング。

春はいかなご

会下山公園の中はジョギングコースもつくられ、軽やかに走ってる人や、リハビリでゆっくりと歩いてるお父さんもいたりする。桜の季節ほど人はいないけど、可愛いお孫さんとお弁当食べてるおばあちゃんの姿も。
この会下山は遠い昔、
湊川の合戦で楠正成が本陣を置いた所。今日ののどかな景色から遠い戦いの日々は想像できへん。
えさをねだるハトの群れを残して、懐かしさの残る庶民的な町並みを通り抜けます。
歩いていると、なにやらとてもいい匂い。あちこちの家から砂糖と醤油の甘辛い匂いが流れてくる。これは
『いかなごのくぎ煮』をたく匂いです。
「いかなご」とは神戸や明石の近海で3月から4月頃とれる小魚。それを砂糖や赤ザラメ、醤油、しょうがで煮あげたものがちょうど「くぎ」の形に似てる。それで神戸辺りではくぎ煮という。
昼網で仕入れてきたいかなごは、
とにかく急いで新鮮なうちにたかんといかんらしい。そこがコツ。だから、どこの家もいっせいにたきだす。
神戸の町中がいい匂い。それは、この地方に春が訪れた証拠です。
「春はあけぼの」ならず、「春はいかなご」やね。

癒しの湯





くぎ煮の香りの中を歩いていくと、石井川へ出てきた。川は小さいけど両岸がうまく自然を残しながら整備されてる。仕事休みのお兄さんたちものんびり昼寝。うらやましい!
東方向へ進むと天王谷川。こちらは川というより深くてせまい水路です。
川沿いの北にある天王温泉と湊山温泉。なんでもこの辺りには
平清盛の時代から湯屋というのがあったらしい。二つの温泉はその推測地やそう。随分と昔からあったんやね。
湊山温泉に入ってみると…そこはちょっとしたカルチャーショック!
お年寄りが多くて
湯治場という雰囲気。流行りの健康スパなんかとまた違う。お湯はすごく濁ってるし、匂いもクセがある。ドブくさいというたら怒られる?
ところが!はいってみると体にしみ込むというより、
骨にしみ込むって感じ。気持ちい〜い。
「体全部のツボをお湯が押してるみたいでしょ」電車とバスを乗り継いで来てるおばあちゃん。
毎日きてはる人ばかり。
「こんなに、えー温泉にはいれて、あんたも運がえーよ。悪い所もすぐ治る」。実は、頭わるいんやけど…。
みんな親切に
「源泉の水とお湯をくりかえして、何回も悪い所にかけたらいいんよ」。おけの水に顔をつけてる人もいるけど?
コップで源泉を飲んでる人もたくさんいる。正直、私にその味はつらかったけど、効能はいっぱい。
どのおばあちゃんもちょっとくたびれた体。いかにも長い間使ってきた体。無理もないよね。
ロビーには梅見登山の帰りにきはったおじさん4人組。ここの常連さんらしく、湯上がりのビールで盛り上がってました!
ここは
お湯とおしゃべりで心と体を癒す場所。皆さん元気で長生きしてね。

その名も『新鮮』市場

湯上がりに急いで歩くのは体によくない。ゆっくりとウォーキング。
ブラブラ歩いて着いた所が大きな市場の
神戸新鮮市場。
約1kmにわたって連なった商店が、なんと500店以上あるらしい。
魚屋さんや花屋さんが多く値段も安い。
私が歩いた時はもう夕方近くで、そろそろ店じまい。魚屋や八百屋のおっちゃん、お兄ちゃんのかける声のにぎやかなこと。
両手に大きなお造りのパックを持って「二つで千円!二つで千円!」と半ばやけくそ。それでも手をださへん客に「今、買わへんかったら、いつ買うんや!」と、とうとう逆ギレ。
「ここにあるもん全部で**円!」という言い方がやたら多かった。早く閉めたいんやろね。
でも、『新鮮』という名前。看板に偽りなしの楽しい市場やった。
このにぎわいがいつまでも続いてほしいな。
せまい道に流れてくる台所からのいい匂い。ふつうの下町を歩いていく落ち着いた心地よさ。庶民的な温泉と市場に何かしら懐かしさを覚えた私でした。
(2002.3.9 ともこ記)
ウォーキングコース
神戸市兵庫区
会下山公園から湊川上温泉
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