兵庫県尼崎市といえば、どんなイメージ?
公害病の裁判、煙とススで空気が悪い町、下町でゴチャゴチャしてる、と、いいイメージは少ないみたい。
確かに高度成長期の時代には、工業都市として空気も悪く川もきたなかった。でも、尼崎にもそんな時代を越えて、大切に昔の面影を残す一面があります。そして、残念な事に自然災害によって失われた地域もありました。

もう一度まちづくり、
築地

阪神電鉄の「尼崎駅」の改札を南側におりて、左へ行くと庄下(しょうげ)橋。渡って左手に明治初期の赤レンガの建物。石垣のある尼崎城址公園を南へ歩き、国道43号線の手前を曲がると見えるのが城内小学校。レトロなデザインがなかなか素敵!
でも以前はなんと尼崎城の一部を学校にしていた、というなんともユニークな学校やったのに、あの阪神・淡路大震災によって壊れてしまったとは残念。
南へおりて、さあ、ここからが古い町並みが残るといわれてる築地(つきじ)。
ところが!古い町並みを想像していた
私はショック。
そこでみたものは、人けのない町。あちこちで行われている工事。
震災の被害がここまでひどく、そして6年たった今もまだこの状態とは知らへんかった。
「液状化現象で畳がめくれて、そこから水が吹き出し、砂が吹き出しで…古い家やし、あっと云う間に壊れてしまって。」と、出会った中田さんのお母さんが云えば「私の家は基礎がはずれたまま、傾いた家に2年も住んでたんよ。怖かったけど、仕方なかったし…」と娘さん。「幸いにも家が壊れても、下じきで亡くなった人はおらへんかったし、火事が起きへんかったのもよかった。でも、そうすると
マスコミは一切とりあげへんしね。」と、お母さんはちょっぴり複雑な顔。「尼崎でも知らん人、多いんとちゃうかな。」
築地は
江戸時代にできた埋め立て地。その分、地盤が弱くてこの一角だけがすごい被害をうけてしまった。

初嶋大神宮で伺ったお話しでは、ここは17世紀前半から城下町として栄え、漁師さんや職人さんの住む一角やった。玄関には格子戸がはまり中2階の平家や蔵が続く、時間が止まったような町並みであったそう。
「徳川家康が江戸から船で、楠公さん(神戸市兵庫区の湊川神社)にお詣りに来はった時、必ずここでとれとれの魚介を食べはった。
江戸でこんな所があればと、築地という町ができた。ここは本当に古い町なんですよ。」と、宮司さん。

震災前は約1,200人ほどいた住民が今は400人。しかもお年寄りが多い。近くの工場で働いてた若い人達は働く場所もなくなって、やむなく築地を離れた人も。
「銭湯が3軒あってね。夕方になると工場の仕事が終わって、のんびりと風呂へいく人の姿が多かったんやけどね。」と、寂しそう。
お好み焼き屋のおばちゃんも「外へでたら、『おはよう』『暑いねぇ』とか話しができたのに…。外を歩く人が減ったので、お客さんも減ってしもて。」とため息がでます。
復興住宅も建ってきてるけど、お年寄りにとってはエレベーターであがり
ドアをしめたら外の世界と遮断される暮らしは、あまりにも以前とは違います。震災が壊したものは古い町並みだけではなく、ご近所づきあい、人々の生活そのもの。
でも、そんな中でちょっと救われたのは新しいまちづくり。
失われた昔の景観はもどらへんけど、以前の築地の雰囲気を取り戻そうと、蔵を建てたり白壁や瓦を使った家づくり。
震災復興住宅もデザインに心配りが感じられる。

それに元気を取り戻せと、頑張りをみせているのが「だんじり」。震災の年も力をあわせてだんじりをだしたことが「築地だんじり保存会」の人たちの誇り。去年までは9月5、6日やったけど、今年からは9月14、15日にだんじりを曵く予定とか。築地の町が祭り囃子でにぎやかに、大勢の人たちが参加するといいな。

寺町のコミュニティ

戎橋を渡り、北へと歩き開明橋のところで左にまがって三つめの信号。そこを左へまがると明治時代の赤いレンガの小さな建物が尼信記念館。今みると可愛い建物やけど、昔は高い建物がなく大水や台風の時の避難所になってたそうです。その横にはなんと貯金箱が10,000点も展示されてる世界の貯金箱博物館があります。数の多さと珍しさは必見もの!さわれる貯金箱もあってなかなかおもしろい。
さて、ちょっと戻って道路を渡るとそこは寺町。11のお寺が集まってます。
築地が「漁師さんと職人さんの町」ならここは名前の通り「お寺さんの町」。こんな町なかにこんな所が?と落ち着いたたたずまいです。
静かな一角にそこだけ楽し気な笑いが、と見ると、法園寺(ほうおんじ)の前に家の軒下を利用した
タコ焼き屋さんが。
丸イスがおいてあって、腰かけて食べる人あり、お持ち帰りありとそれぞれやけど、みんな楽しそうにタコ焼きやいてるオバチャンと話してる。パート帰りのお母さんやお腹のすいた学生さん。みんなちょこっと寄って、食べて言葉かわしていく。「タコ焼きやいて15年」のオバチャンについいろんな事を話したくなる。
ここは大事なコミュニティの場なんやね。

私のおすすめの味

本日ウォーキングしてみつけた美味しいもの!
私の独断と偏見で選んだのは、まず先の「
寺町のタコ焼き」。そして、「大貫のラーメン 」と「ヒノデ阿免(あめ)の飴」!
大貫は駅北側の中央商店街にある古くからのラーメン屋さん。決してしゃれた造りの店ではないけれど、丁寧にとったスープが気にいった!元祖尼っこラーメン。ヒノデ阿免は、創業百有余年という長い歴史のあるお店で、昔は「らんぷ飴」の商標でも親しまれてたそう。「ラーメン」も「あめ」も、最近見栄えだけのものが多い中、
見せかけと違う本当の味を伝えてる、と思う。ぜひ、食べてほしいな。
(2001.5.12 ともこ記)
ウォーキングコース
兵庫県尼崎市
築地から寺町界隈
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